AP過去問 令和7年度春期 午前 問30

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問30(問題文)

 MTU(Maximum Transmission Unit)が 1,500バイトに設定されたIPv4ネットワークで、2,000バイトのデータをTCPを用いて送信するときに、二つ目に送信されるパケットに含まれるデータは何バイトか。ここで、TCPヘッダー長は20バイト、IPへッダー長は20バイト、イーサネットのヘッダー長とトレーラー長は、それぞれ14バイトと4バイトとする。また、データを複数パケットに分割して送信するときは、先に送信するパケットに格納できる上限までデータを含めて送信するものとする。


ア 500

イ 540

ウ 580

エ 598

 

回答・解説

 この問題では、MTU(Maximum Transmission Unit)が1,500バイトに設定されたIPv4ネットワークで、2,000バイトのデータをTCPを使用して送信する場合に、2番目に送信されるパケットに含まれるデータ量を求める問題です。条件として、TCPヘッダー長は20バイト、IPヘッダー長は20バイト、イーサネットのヘッダー長は14バイト、トレーラー長は4バイトとされています。


送信されるパケットの構造についての計算

最初のパケット

MTUは1,500バイトであり、これにはイーサネットのヘッダー(14バイト)とトレーラー(4バイト)、IPヘッダー(20バイト)、TCPヘッダー(20バイト)が含まれます。


よって、最初のパケットに使用できるデータのサイズは以下のように計算できます。

イーサネットヘッダー: 14バイト

イーサネットトレーラー: 4バイト

IPヘッダー: 20バイト

TCPヘッダー: 20バイト


 MTUはIPヘッダーとTCPヘッダーの合計が含まれているので、20+20=40[バイト]を指し引きます。。 1,500バイトから引くと、1,50040=1,460[バイト]がデータとして利用できる領域となります。


最初のパケットには、1,460バイトのデータが含まれます。


2番目のパケット 残りのデータは、2,0001,460=540[バイト]です。


したがって、2番目のパケットに含まれるデータは540バイトです。


 したがって



 が答えです。


この問題においては、イーサネットのヘッダー長(14バイト)とトレーラー長(4バイト)は演算には不要です。以下にそれぞれの意味と位置づけ、なぜ計算に含めないのかを説明します。


■各ヘッダー・トレーラーの役割と位置づけ

1. イーサネットヘッダー(14バイト)

データリンク層で使われる情報です。

宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプなどが含まれます。

OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)に該当します。

ハードウェアに近い通信のための付加情報で、MTUの定義には含まれません。

2. イーサネットトレーラー(4バイト)

フレームチェックシーケンス(FCS)と呼ばれる誤り検出用の値が入っています。

こちらもデータリンク層の一部で、同様にMTUの計算には関係しません。

3. IPヘッダー(20バイト)

OSIの第3層(ネットワーク層)における制御情報です。

宛先IPアドレスやパケットの分割情報などが含まれます。

MTUに含まれるため、MTUから差し引く対象です。

4. TCPヘッダー(20バイト)

OSIの第4層(トランスポート層)で、通信の信頼性を確保するための情報を含みます。

これもMTUに含まれるため、実データの容量を求める際には差し引きます。

■なぜイーサネットのヘッダー・トレーラーはMTUに含まれないのか?

 MTUは、IP層(ネットワーク層)で扱える最大のパケットサイズを表します。これは通常、IPヘッダー+上位層データ(TCPやUDPのヘッダー含む)+アプリケーションデータの合計で構成されます。


つまり、イーサネットヘッダーやトレーラーは物理的な送信に必要な情報であり、IP層から見たパケットサイズには含まれません。


そのことがわかっているかを問う問題であり、余計な情報はひっかけです。やられましたね。

 

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