AP過去問 令和6年度秋期 午前 問80
問80(問題文)
デジタル社会形成基本法において掲げられている10項目の基本理念に含まれているものはどれか。
ア インターネット上での権利侵害があった場合のサービスプロバイダなどが負う責任範囲を制限し、同時に被害者が発信者情報の開示を請求できる権利を定めること
イ 広告宣伝を目的とする電子メールの適正化のための措置を定め、電子メールの利用環境の整備を図ることにより、高度情報通信社会の健全な発展に寄与すること
ウ 全ての国民が情報通信技術の恵みを享受できる社会の実現を目指し、情報通信技術を用いた情報の活用により信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保を図ること
エ 通信販売などの取引を公正にし、購入者等が受ける損害の防止を図り、購入者等の利益を保護することにより、国民経済の健全な発展に寄与すること。
回答・解説
デジタル社会形成基本法(2021年制定)は、デジタル技術の活用を通じて国民生活の向上や経済の発展を目指すもので、その中で10項目の基本理念が掲げられています。それぞれの選択肢がこの理念に含まれているかどうかを検討します。
アは間違いです。この内容は「プロバイダ責任制限法」に関するものであり、デジタル社会形成基本法の基本理念には含まれません。
イは間違いです。これは「特定電子メール法」に関する内容であり、デジタル社会形成基本法の基本理念には含まれません。
ウは正しいです。この内容は、デジタル社会形成基本法の基本理念に含まれています。法の中で特に強調されている「全ての国民が情報通信技術の恩恵を享受できる社会」や「信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保」に関連する記述です。
エは間違いです。この内容は「特定商取引法」に関するものであり、デジタル社会形成基本法の基本理念には含まれません。
したがって
ウ
が答えです。
デジタル社会形成基本法の基本理念(10項目)
- 国民生活の向上
- デジタル技術を活用して、国民が安心で豊かな生活を実現できる社会の構築を目指す。
- 経済社会の発展
- デジタル技術の活用を通じて、経済の持続的な成長と発展を図り、産業競争力を高める。
- 全ての人が享受できる社会
- 国民すべてが情報通信技術(ICT)の恩恵を享受できるよう、デジタル格差の解消を目指す。
- 信頼性のある情報流通
- 情報通信技術を用い、安全で信頼性のある情報の自由な流通を確保する。
- 国際競争力の強化
- 日本のデジタル関連技術やサービスの国際競争力を強化し、国際的な地位を高める。
- 環境への配慮
- デジタル技術の活用を通じて、持続可能な社会の実現や環境保護に貢献する。
- 安全・安心の確保
- サイバーセキュリティの確保やプライバシーの保護により、安全で安心して利用できるデジタル環境を整備する。
- デジタル人材の育成
- デジタル技術を活用できる人材を育成し、全ての人々がデジタル技術を利用できる社会を目指す。
- 行政サービスのデジタル化
- 行政手続きの効率化や利便性向上を図るため、デジタル技術を活用した行政サービスを推進する。
- 協働と連携の推進
- 官民連携や多様な主体が協力し合いながら、デジタル社会の形成を進める。
上記もあくまで要約ですし、丸暗記は無理だけど、内容の方向性について、軽く、趣旨を覚えておくといいかもしれない。