AP過去問 令和6年度秋期 午前 問79

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問79(問題文)

 大規模なシステム開発を受注したA社では、不足する開発要員を派遣事業者であるB社からの労働者派遣によって補うことにした。A社の行為のうち、労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。


ア システム開発が長期間となることが予想されるので、開発要員の派遣期間を3年とする契約を結ぶ。

イ 派遣候補者の履歴書及び業務経歴書の提出をB社に求め、書類選考を行い、面接対象者を絞り込む。

ウ 派遣された要員が大きな作業負担を負うことが見込まれるので、B社に20代男性の派遣を求める。

エ 派遣労働者がA社の指揮命令に対して申し立てた苦情に自社で対応せず、その処理をB社に任せる。

 

回答・解説

 アは正しいです。ですが、この選択肢では、「3年」との記述があるものの、3年後の手続きや対応についての具体的な言及がないため、「適切とも不適切とも断定しにくい」部分があります。ただし、一般的に派遣期間の設定自体は合法です。労働者派遣法では、派遣労働者を同一の組織単位で受け入れる期間は原則最長3年であり、延長には過半数労働者の意見聴取などの手続きが必要です。その手続きが抜けている場合を前提にすれば「不適切」となりますが、手続きが適切に行われていれば「適切」と解釈できます。

 イは間違いです。派遣候補者の履歴書及び業務経歴書の提出をB社に求め、書類選考を行い、面接対象者を絞り込む。派遣労働者を特定して選考する行為(指名、面接、書類選考)は、労働者派遣法における「事前面接の禁止規定」に違反します。派遣労働者の選定は派遣元事業者(B社)が行うべきであり、A社が直接選考に関与することは適切ではありません。

 ウは間違いです。派遣された要員が大きな作業負担を負うことが見込まれるので、B社に20代男性の派遣を求める。特定の性別や年齢を指定することは、労働者派遣法や雇用機会均等法に基づく差別的行為に該当します。派遣労働者の選定は適性や能力に基づいて行うべきであり、性別や年齢を理由に条件を付けることは認められません。

 エは間違いです。ただし、「自社で対応せず」とあるが、完全に無視しているかどうかが不明確です。 派遣労働者に関する苦情の処理は、基本的に派遣元(B社)の責任範囲であり、派遣先(A社)は直接解決に当たる義務はありません。しかし、A社が苦情を完全に放置し、B社に丸投げする態度は適切ではありません。例えば、労働者が職場での指揮命令に対する苦情を申し立てた場合、派遣先であるA社はその事実を認識し、B社に状況を報告・共有する責任があります。そのうえで、B社が中心となり苦情対応を進めるべきです。解釈次第では、B社にすべて任せることが「不適切」とも判断できます。

 この問題は捉え方次第で、アは間違いとも言えるし、エは正しいとも言える微妙なものですが、ほぼほぼアが適切とみるのが良いと思われます。3年後にどうするか条件付きですね。

 したがって



 が答えです。

 

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