AP過去問 令和6年度秋期 午前 問75

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問75(問題文)

 A社とB社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき、ナッシュ均衡、すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。ここで、表の各欄において、左側の数値がA社のシェア、右側の数値がB社のシェアとする。


単位 %
B社
戦略 b1 戦略 b2
A社 戦略 a1 40, 20 50, 30
戦略 a2 30, 10 25, 25


ア A社が戦略a1、B社が戦略b1を採る組合せ

イ A社が戦略a1、B社が戦略b2を採る組合せ

ウ A社が戦略a2、B社が戦略b1を採る組合せ

エ A社が戦略a2、B社が戦略b2を採る組合せ

 

回答・解説

 ナッシュ均衡とは互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せのことで、問題文にも説明があります。一番大きいシェアになるのは、表の中でA社は50%、B社が30%のときです。そのいずれにも合致する、50, 30という部分が互いに最適ということになります。A社の戦略a1、B社の戦略b2が交わるセルが最適です。したがって



 が答えです。このように単純な場合は答えが簡単ですが、互いに最適になるセルが違っている場合は確率的に混合戦略を考慮して、A社が何%でa*、B社が何%でb*を選択するときがナッシュ均衡というような答えになります。例えば


単位 %
B社
戦略 b1 戦略 b2
A社 戦略 a1 40, 30 20, 50
戦略 a2 50, 20 30, 40


 というような場合。


  • ステップ 1: 確率を設定
A社は戦略a1を選ぶ確率をp、戦略a2を選ぶ確率を 1−p とします。
B社は戦略b1を選ぶ確率をq、戦略b2を選ぶ確率を 1−q とします。
  • ステップ 2: 期待利得を求める
プレイヤーごとに期待利得を計算します。
  • A社の期待利得
B社がそれぞれの戦略を選ぶ確率q と1−q を考慮すると、A社の戦略ごとの期待利得は次のようになります:
  • a1 の期待利得:
利得(a1)=40q+20(1−q)=40q+20−20q=20q+20
  • a2 の期待利得:
利得(a2)=50q+30(1−q)=50q+30−30q=20q+30
  • B社の期待利得
A社がそれぞれの戦略を選ぶ確率p と1−p を考慮すると、B社の戦略ごとの期待利得は次のようになります:
  • b1 の期待利得:
利得(b1)=30p+20(1−p)=30p+20−20p=10p+20
  • b2 の期待利得:
利得(b2)=50p+40(1−p)=50p+40−40p=10p+40
  • ステップ 3: ナッシュ均衡の条件
混合戦略ナッシュ均衡では、各プレイヤーの戦略における期待利得が等しくなるように確率を決定します。
  • A社の条件
B社の戦略選択確率 q によって、A社がどちらの戦略を選んでも利得が等しくなるようにします:
20q+20=20q+30
この条件を解くと、
q=0.5
  • B社の条件
A社の戦略選択確率 p によって、B社がどちらの戦略を選んでも利得が等しくなるようにします:
10p+20=10p+40
この条件を解くと、
p=0.5
  • ステップ 4: 結果
混合戦略ナッシュ均衡は次のようになります:
  • A社が戦略a1を選ぶ確率 p=0.5、戦略a2を選ぶ確率 1−p=0.5。
  • B社が戦略b1を選ぶ確率 q=0.5、戦略b2を選ぶ確率 1−q=0.5。


 つまり、両社ともにそれぞれの戦略を 50% の確率で選択するのが混合戦略ナッシュ均衡です。


 50%ではつまらないので、もう少し複雑な例にしてみましょう。


単位 %
B社
戦略 b1 戦略 b2
A社 戦略 a1 30, 40 20, 60
戦略 a2 50, 20 40, 30


  • ステップ 1: 確率を設定
A社が戦略a1を選ぶ確率をp、戦略a2を選ぶ確率を 1−p とします。
B社が戦略b1を選ぶ確率をq、戦略b2を選ぶ確率を 1−q とします。


  • ステップ 2: 期待利得を求める
各プレイヤーの期待利得を計算します。
  • A社の期待利得
a1 の期待利得:
利得(a1)=30q+20(1−q)=30q+20−20q=10q+20
a2 の期待利得:
利得(a2)=50q+40(1−q)=50q+40−40q=10q+40
  • B社の期待利得
b1 の期待利得:
利得(b1)=40p+20(1−p)=40p+20−20p=20p+20
b2 の期待利得:
利得(b2)=60p+30(1−p)=60p+30−30p=30p+30


  • ステップ 3: ナッシュ均衡の条件
混合戦略ナッシュ均衡では、期待利得が等しくなるように確率を設定します。
  • A社の条件
B社の戦略選択確率 q によって、A社の戦略選択利得が等しくなるように設定します:
10q+20=10q+40 解くと、
q=0.67(約67%)
  • B社の条件
A社の戦略選択確率 p によって、B社の戦略選択利得が等しくなるように設定します:
20p+20=30p+30 解くと、
p=0.5(50%)


  • ステップ 4: 結果
混合戦略ナッシュ均衡は以下のようになります:
  • A社: 戦略a1を選ぶ確率 p=0.5、戦略a2を選ぶ確率 1−p=0.5。
  • B社: 戦略b1を選ぶ確率 q=0.67、戦略b2を選ぶ確率 1−q=0.33。


  • 確認
この均衡では、お互いの期待利得が等しくなり、ナッシュ均衡の条件を満たします。計算結果は以下です:
A社の利得(どちらの戦略を選んでも):
10×0.67+20=26.7
B社の利得(どちらの戦略を選んでも):
20×0.5+20=30


 まぁでも応用情報処理技術者試験ではここまでナッシュ均衡の問題を掘り下げることはないので、単純に互いが最適になるセルが一つになるパターンだけ覚えておくと十分なのかもしれません。キニナレバキニナルホドキニナル人向けの情報でした。

 

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