AP過去問 令和5年度秋期 午前 問17
AP過去問 令和5年度秋期 午前 問16前の問題へ
AP過去問 令和5年度秋期 午前 問18次の問題へ
問17(問題文)
プリエンプティブな優先度ベースのスケジューリングで実行する二つの周期タスクA及びBがある。タスクBが周期内に処理を完了できるタスクA及びBの最大実行時間及び周期の組合せはどれか。ここで、タスクAの方がタスクBより優先度が高く、かつ、タスクAとBの共有資源はなく、タスク切替え時間は考慮しないものとする。また、時間及び周期の単位はミリ秒とする。
回答・解説
【解き方】
タスクBが処理を完了できるかどうかは、応答時間解析(response time analysis)で判断します。
応答時間の式(初期値はタスクBの実行時間から開始):
R=CB+∑i∈hp(B)⌈RTi⌉⋅Ci
CB :タスクBの最大実行時間
Ti:タスクAの周期
Ci :タスクAの最大実行時間
⌈RTi⌉は天井関数と呼ばれ、シーリング Ti ぶんの Rのように読みます。これは0.8や0.2のような少数を切り上げ、1とする演算です。タスクBより優先度が高いもの(higher priority B)について総和をとることを意味します。この問題ではタスクBに対してはタスクAの1つしかないので総和をとる必要はありません。
ア:
- タスクA:Ci=2、Ti=4
- タスクB:CB=3、TB=8
初期値:Rには仮にCBを入れ、算出された値を次のRとします。収束するか、TBを超えるまで計算します。超えるとタスクが滞りますので、駄目です。TBの周期を超えると、次々とBのタスクがやってきて、消化できずに処理が滞ります。
R=3+⌈34⌉⋅2=3+1⋅2=5
次:
R=3+⌈54⌉⋅2=3+2⋅2=7
次:
R=3+⌈74⌉⋅2=3+2⋅2=7(収束)
→R=7≦ → OK、もう答えは定まったのでこれ以上計算する必要はないですね。
でも、念のため、練習を兼ねて、他の選択肢についても計算をしてみましょう。
イ:
- タスクA: C_i=3 、 T_i=6
- タスクB: C_B=4 、 T_B=9
初期:
R=4+\left\lceil \frac{4}{6} \right\rceil \cdot 3=4+1\cdot3=7
次:
R=4+\left\lceil \frac{7}{6} \right\rceil \cdot 3=4+2\cdot3=10
次:
R=4+\left\lceil \frac{10}{6} \right\rceil \cdot 3=4+2\cdot3=10 (収束)
→ R=10 \gt T_B=9 R=10 が T_B=9 → より大きいので処理が滞る。
ウ:
- タスクA: C_i=3 、 T_i=5
- タスクB: C_B=5 、 T_B=13
初期:
R=5+\left\lceil \frac{5}{5} \right\rceil \cdot 3=5+1\cdot3=8
次:
R=5+\left\lceil \frac{8}{5} \right\rceil \cdot 3=5+2\cdot3=11
次:
R=5+\left\lceil \frac{11}{5} \right\rceil \cdot 3=5+3\cdot3=14
→ R=14 \gt T_B=13 収束する前に R=14 が T_B=13 → より大きくなった。これも処理が滞る。
エ:
- タスクA: C_i=4 、 T_i=6
- タスクB: C_B=5 、 T_B=15
初期:
R=5+\left\lceil \frac{5}{6} \right\rceil \cdot 4=5+1\cdot4=9
次:
R=5+\left\lceil \frac{9}{6} \right\rceil \cdot 4=5+2\cdot4=13
次:
R=5+\left\lceil \frac{13}{6} \right\rceil \cdot 4=5+3\cdot4=17
→ R=17 \gt T_B=15 収束する前に R=17 が T_B=15 → より大きくなった。これも処理が滞る。
したがって
ア
が答えです。
もっと地道な導出方法もあります。方眼紙みたいな奴にウメウメしていく手法です。
方眼紙に最大処理時間2なら2マス。周期4なら2マスあげて描く
■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□
こんな感じ。
タスクBは最大処理時間2なら3マス。周期8なら処理時間を差し引いた5マスあげて描く
☒☒☒□□□□□☒☒☒□□□□□☒☒☒□□□□□☒☒☒□□□□□こんな感じ。
これを真ん中の方眼紙に埋めていく。
■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□■■□□
■■☒☒☒■■□■■☒☒☒■■□■■☒☒☒■■□■■☒☒☒■■□
☒☒☒□□□□□☒☒☒□□□□□☒☒☒□□□□□☒☒☒□□□□□
こんな感じ。処理が滞らないか確かめるタイムライン図を作る。うまくいくので、アが正解で終わり。他のもやっていいけど疲れるので、棄権します。みなさんはやってみて下さい。つまり、なんだかキツネにつままれたような計算式を使わない方法はある。
AP過去問 令和5年度秋期 午前 問16前の問題へ
AP過去問 令和5年度秋期 午前 問18次の問題へ