さすべえ
自転車に傘を固定して取り付けられる装置として、ユナイト社が販売する「さすべえ」は大阪を中心に関西圏では人気を博していますが、2015年4月1日より自転車取締強化の影響をうけて、自転車安全運転義務違反の取締対象としても強化されたといえます。根拠は積載制限が自転車の高さ+2メートルと横幅に対して+0.3メートルまでだからです。これを自転車安全運転義務違反として取り締まるかどうかは、各都道府県の方針によって変わるかもしれないですが、法律的には改正以前より駄目ということになります。さすべえ自体をとりつけている分には違反ではありません。さすべえに高さ2メートル以上の傘を自転車の横幅0.3メートル以上に拡大するような大きさの傘を取り付けることが違反になります。日傘も同じです。
積載違反の制限幅・高さについては条例は各都道府県によってことなる模様です。
自分が自転車で通行する可能性のある都道府県の交通規則をいくつか調べてみました。
- 大阪府
- ●大阪府道路交通規則 第11条第4号
- (軽車両の乗車又は積載の制限)「傘スタンド」に傘を積載した場合に、傘の幅及び高さの制限は、幅0.3メートル及び高さ2メートルで、超えた場合は違反になります。なので、使用しないでください。
- https://www.police.pref.osaka.jp/03kotsu/topics/jitensya_kousyuu_1_1.html
- 兵庫県
- 3 積載物の長さ、幅又は高さを確認!
- 積載物そのものの長さ等に基準があるので確認しましょう。
- 長さ ~ 積載装置の長さに0.3メートルを加えた数値以下であること。
- 幅 ~ 積載装置の幅に0.3メートルを加えた数値以下であること。
- 高さ ~ 2メートルから積載装置までの高さを引いた数値以下であること。
- 【根 拠】道路交通法第57条第2項、兵庫県道路交通法施行細則第7条第1項第3号
- 【罰 則】2万円以下の罰金又は科料
- 4 積載の方法を確認!
- 積載すれば、再度
- 積載装置の前後から0.3メートル以下であるか
- 積載装置の左右のはみ出しがそれぞれ0.15メートル以下であるか
- 積載方法の制限を超えないか確認しましょう。
- 【根 拠】道路交通法第57条第2項、兵庫県道路交通法施行細則第7条第1項第4号
- 【罰 則】2万円以下の罰金又は科料
- 三重県
(軽車両の乗車又は積載の制限) 第十四条 法第五十七条第二項の規定による軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限は、次のとおりとする。
- 二 積載重量
- ア 積載装置を備える自転車にあつては三十キログラムを、重量運搬に適する積載装置を備える自転車にあつては六十キログラムを、リヤカーをけん引する場合におけるその牽けん引されるリヤカーにあつては百二十キログラムをそれぞれ超えないこと。
- 三 積載物の長さ、幅又は高さ
- ア 長さ 積載装置の長さに〇・三メートル(牛馬車及び大車にあつては、〇・六メートル)を加えたもの
- イ 幅 積載装置の幅に〇・三メートル(牛馬車及び大車にあつては〇・六メートル)を加えたもの
- ウ 高さ 二メートル(牛馬車にあつては、三メートル)からその積載をする場所の高さを減じたもの
- http://www3.e-reikinet.jp/mie-ken/d1w_reiki/34395010000300000000/34395010000300000000/34395010000300000000_blk1.html
横幅+30cmが一つの基準になりそうです。傘ってそんな小さいものをつけるでしょうか?
車体は法律で以下のとおり60cm幅が制限になっていて、一般的な自転車の幅は競技用が42cmでシティサイクルは55cm程度となっています。
道路交通法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
- 一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。
- イ 長さ 百九十センチメートル
- ロ 幅 六十センチメートル
二 車体の構造は、次に掲げるものであること。
- イ 側車を付していないこと。
- ロ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。)を備えていないこと。
- ハ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
- ニ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。
取り付けられる傘は概ね550+600[mm]ということになります。直径1m15cmです。半径58cmの傘ってのは普通のサイズの傘なのでこれならOK。大きなワイド傘をつけるとNGになります。あとは高さ2mにも要注意ですね。鋭利な突出部がないことという条項もあるようですので、ここの捉え方によっても判断がかわります。したがって事故を起こしたときは裁判やらなんやらになったら、そこを責められて過失割合が高くなる恐れがあるわけです。
捕まらないから使うというのは理にかなっていますが、もし事故をおこして他人にけがを負わせてしまった場合、この安全運転義務違反が問われます。事故を起こしてしまった時の過失割合が上がります。ユナイト社としては、突然のことで困惑しているかもしれないけれど、取締の対象にならない都道府県があったとしても、この装置を取り付ける人は、事故を起こした場合の責任を負う覚悟も必要となると思います。人の命は重いです。他人の命を落としてしまった場合、法律違反をしていたという事実はかわらないということです。
自分自身がさすべえを使っている人を指摘したり、指導したりする立場にはないので、街でみかけてもスルーです。それは街中に違法改造車が走行しているのと同じレベルなのです。止める権利はないし取り締まることもできない。ただただ良い世の中になってほしいと思うし、ルールの周知徹底はしておかないといけないのではないかと思います。
ユナイト社もそのうち倫理に従うかもしれませんが、車の違法改造行為を幇助するお店が巷にあふれているように、同じような感覚で営業をつづけるのかもしれません。人間は罰を受けないなら利益を得たいものですから、そういう考え方があっても不思議ではないです。法を犯しているか犯していないか明確に感じ取っていないのなら、きっとどこかで争う場面が発生するのでしょう。こういう場合は結論に至るのは結局、何かが起こってからだと思います。触らぬ神にたたりなしということなのかもしれません。問題ないなら問題がおこるまでそっとしていようということです。それまでは稼いで最後に責任を負うかもしれない。そういうことです。
合羽がよく売れるようになって喜んでいる人もいるいっぽうで法律によって商売が難しくなっている立場もあるということでしょう。こうなってくるとはっきりと自転車への傘固定は許可できるという例外を法律で明確にしないと無理があるわけです。
少なくとも私の家族はルールになるべく従うことにしたようでして、この件に関しては合羽を使うか徒歩で傘という選択肢になります。しかし0.3メートル以上の改造がだめなら歩行者も0.3メートルは?って思う人いると思うんですけど、ちょっとルールがきつめですね。今のところの法律はそういうことなので、法律を改正するには正しい行動をとらねばなりません。それができないなら従うしかないのが日本という国なのです。
朝倉染布(あさくらせんぷ)のポンチョがいいですね。超撥水で、パンっとやれば水が全部落ちて、ちょっとしたポンチョケースにいれてカバンにしまえる。朝倉染布の風呂敷でカゴを守り、ポンチョを使うのがよさそう。日本の技術らしいので、世界に出て行ってもよさそう。でも、世界の日本以外の国では傘をさすと言う文化がないみたいで、ぬれることをいとわないみたいです。傘って海外でも存在するから、日本と同じように使ってるものだと思ってました。