攻殻機動隊
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概要
電脳化と呼ぶ設定がこの物語の主体になっていると思います。電脳というのは人間の脳の仕組みをコンピュータのような人工物として制御できる仕組みが完成したという設定で、その技術を一般の人が取り入れて、自然の人間がもっている脳と電脳とを取り換えるようになる時代背景のもとでの社会問題や現実問題を想定しながらもある一定の問題には目をつぶりながら未来の姿を「攻殻機動隊」という漫画・アニメで描く面白さがこの作品にはあります。
たとえば電脳化できたとしたら何ができるでしょうか?通信。ウィルス。人間の動作の飛躍的な向上。自分とは何か?個体とは?魂(ゴースト)のようなものは何なのか?人間の脳を残した電脳化。電脳化独特の病気。電脳犯罪。電脳警察(攻殻機動隊はこの警視庁公安9課という設定です)。性欲はどうなるのか?アンドロイド(完全機械制御ロボット)の有効利用。こういうことを考えさせてくれる面白さと逆に作者から提案される様々な設定も面白いと思います。アニメや漫画特有の可愛らしいキャラクタという位置づけで登場するタチコマはなかなかのものです。
この物語では首の後ろには標準化されたコネクタが搭載される設定になっています。意外と基本的な技術も残すんですね。有線と無線の違いは残っています。有線は安全な通信を行う手段としているようですが、その切り分けや油断が犯罪の狙い目にもなるわけでそんなおだやかではない部分にコネクタがあったら寝ることや横になることにも身の危険を感じます。きっと電脳制御できるんでしょうけど。
この設定を作者の士郎正宗さんが、提案したのがコンピュータやインターネットが世間で一般的に使われるようになるずっと前だったのが、この作品の目の付け所の速さ的なものを感じさせる部分です。より速く時代を察知することの面白さはドラえもんや鉄腕アトムのような未来型の物語には必要な要素だと思います。どれだけ現実味を帯びさせるか?そして、それを人間が後々に欲することができるか?作ることができれば現実社会の風刺にもなるわけで、現実化できないのならSFとして切り分けられるのです。
ヘリコプターは静止できて飛行機は静止できない。ドローンはヘリコプターのカタチをしています。飛行機も静止できるようにしたのがオスプレイと呼ばれている軍事兵器です。何が出来て何が出来ないのか。どういう利用方法があるのか?宙を舞う装置はこれからも開発されるだろうし、移動するための装置も開発されます。みんながドライブレコーダーを積んで監視し合う社会から何がうまれるのか?大量の映像を情報として有効活用したとき何が出来上がるのか?時間の流れはどのように記憶され、有効利用されるか、情報は3次元+時間軸の中で記録されている必要があるとしたら、この自然界の全てを記録することも、光より遠くに行くこともできない。だったらその制約の中で人間は何を成し遂げるのか?考えれば考えただけ面白さが膨らむのが未来現実志向型の物語です。時間をいったりきたりする不都合を解消しながらすすめるSFはSFのままになるとおもってはいますが、敷き詰めていけば、なにか大事な法則を組み立てる発見に行きつくかもしれません。
この作品は未来をもっと幅広く考えることや推測すること、できないとおもっている何かは、何らかの方法でできるようにすることもあるし、とんでもないことをやってのけるのが人間界なのだということを思い知らされた作品です。僕らがつかっているインターネットも誰かが地道に光ファイバーケーブルを海にしずめて世界中に張り巡らせてくれたから安定して動作してくれているのです。雲が制御できれば電波効率もよくなるんだから、無線電源伝送技術と宇宙技術と気象学と地質学を合わせれば、とんでもない電源システムや宇宙エレベータも目の前です。エレベータである必要があるかどうかはさておき。
鏡の中に入れるSFもありましたね。つまらない能力でも手にしたら人間はどうなるかわからないものもあります。考えられるすべてのセンサーの中で何を人間が搭載すべきか考えてみるのも面白いかもしれません。
自分は、この漫画の単行本を2冊もっています。このカタチの物語のバイブルとして、読まないにしても持っていたいと思います。SAC、GIG、その後あたりからはちょっと記憶はあやふやです。Solid State Societyだっけかそんなんとか、笑い男だけ総集編とか、GIGの総集編とか、その後にもなんかあったような気がするし、最近になって出ていたアニメシリーズは難し過ぎて面白い部分がよくわからなかったし…。また時間があったらネットで調べながら理解することもやってみたいと思います。
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