プラグイン VST
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概要
SteinBergが提唱したDAW用のプラグイン構造で、SteinBergが提供するSDKを使って、プラグインDLL(*.dll)や上位機能のVST3(*.vst3)のようなファイルを生成し、DAWに読み込ませることで、拡張機能が実現できるといった仕組みです。
拡張機能には2種類あって、VSTi(iはinstrumentで機器というような意味だけど、ここでは楽器を意味する)とVSTe(eはeffectという意味)があります。VSTiは音を鳴らす機能を有します。シンセサイザーやサンプラーのような仕組みをもった機能をプログラムによって制作した場合にVSTiとなります。もう一つは、音声波形に対して、音響効果を与えるような機能を持ったプログラムを制作した場合にVSTeとなります。DAWからプラグインが受け取る情報とプラグインからDAWに情報を受け渡すしくみがSDKによって提供されています。VSTが発案されたのが、1996年ですが、2023年時点でもC++言語による開発方法のみが提供されています。
導入
- MicrosoftからVisual Studio 2023をインストールします。
- Windows版 Visual Studio 2023 Community が無償版になります。多くの人はこれを使うと思います。ダウンロードして起動するとインストールが始まります。何をインストールするか指示しなければなりませんが、VST作成にはC++開発環境だけが必要ですので、[C++によるデスクトップ開発]のところにチェックボックスに印を入れるだけで良いです。他の作業をしたくなったら、またVisual Studio Installerを起動して、追加していくことが出来ます。スタートメニューに項目があるので、そこからどうぞ。
- SteinBergのホームページからSDKをダウンロードします。
- https://www.steinberg.net/developers/から「VST 3 Audio Plug-ins SDK」をダウンロードします。2023年4月下旬時点ではvst-sdk_3.7.7_build-19_2022-12-12.zipがダウンロードされます。頻繁に更新はされているのですが、古い技術がまったく使えなくなるというようなことは少ないので最新版を使うとよいでしょう。古いものを使うということを推奨していないようです。現に古いモノへのリンクはなく入手は出来ません。直リンクは残っているので、URLを知っている場合は古いものが入手出来ます。大規模開発をチームでやっている場合は困ることもあるかもしれません。古いものは入手した側が管理しなければならないのでしょう。
- Windows版の場合はC:¥Program Files¥Common Files¥VST3というフォルダを作成します。
- ダウンロードしたファイルをC:¥SDK¥VST_SDK。C:¥SDK¥VST_SDK¥VST2_SDK、C:¥SDK¥VST_SDK¥VST3_SDK。となるように配置します。C:¥SDKの部分は任意の位置にすることが出来ます。好きな場所へどうぞ。
- Visual Studio 2022 Community を起動します。ファーストアクションダイアログで「フォルダーを開く」を選択するか、ダイアログが開いていない場合はメニューの[ファイル]-[開く]-[フォルダ]を選択する。あるいは[Ctrl]+[Shift]+[Alt]+[O]をキー入力します。
- C:¥SDK¥VST_SDK¥VST3_SDKを開きます。
- とにかく、待ちます。いつまで?
- 出力Windowに「CMake生成が完了しました」みたいな表示が出るまで待ちます。
- 3.7.7では高速化のためだと思われますが、NinjaというCMakeビルドシステムを使うように指定されていますが、VisualStudio2022Communityでは正しく動作しませんでした。そこで、一度以下のようなエラーが表示されたら
重大度レベル コード 説明 プロジェクト ファイル 行 抑制状態 エラー CMake Error: Running 'C:/(任意*Default値=Program Files)/Microsoft Visual Studio/2022/Community/Common7/IDE/CommonExtensions/Microsoft/CMake/Ninja/ninja.exe' '-C' 'C:/(任意)/VST_SDK/vst3sdk/out/build/x64-Debug' '-t' 'recompact' failed with: ninja: error: build.ninja:3524: bad $-escape (literal $ must be written as $$) C:\(任意)\VST_SDK\vst3sdk\ ninja
- メニューの[プロジェクト]-[vstsdkのCMakeの設定]を開きます。そうするとCMakeSettings.jsonというタブが作られ、その詳細が表示されます。そのタブの下の方に高度な設定と表示というリンクがあるのでクリックするとさらに詳細が表示されます。その中にあるCMakeジェネレータを[Ninja]から[Visual Studio 17 2022 Win64]に変更します。そして保存をします。
- しばらくすると出力Windowに「CMake生成が完了しました」と表示されると思います。構成名がx64-Debug(既定値)のように後ろに日本語が付くことでエラーが発生するケースもあるそうです。ビルドルートの${name}と記載されている部分をx64-Debugに置き換えるとうまくいくようです。${projectDir}¥out¥build¥${name}を${projectDir}¥out¥build¥x64-Debugにするということです。その他のトラブルケースになった場合はわかりません。ご自分で対処なさってください。
- メニューの[ビルド]-[すべてビルド]を選択します。
- また、とにかく待ちます。いつまで?
- 出力Windowに「すべてビルド が成功しました。」と表示されるとよいです。
- C:¥(任意)¥VST_SDK¥vst3sdk¥out¥build¥x64-Debug¥lib¥Debugに*.libファイルが生成されていることが重要です。
- base.lib
- sdk.lib
- pluginterface.lib
- vstgui.lib
- vstgui_support.lib
- vstgui_uidescription.lib
全27ファイル
動作確認用アプリ
VSTの動作確認用のアプリが同梱されています。
- VST3PluginTestHost 64bit
- C:\(任意)\VST_SDK\vst3sdk\bin\Windows 64 bit\VST3PluginTestHost_x64_Installer_3.4.0.zip
- Generic_Lower_Latency_ASIO_Driver_64bit
- C:\(任意)\VST_SDK\vst3sdk\bin\Windows 64 bit\Generic_Lower_Latency_ASIO_Driver_64bit_Installer_1.0.20.9.zip
基礎
導入が終わった時点ではまだ準備はできていません。プロジェクトでSDKを使うという設定をしなければならないし、Visual Studio 2022で作成を始めると必ず通る道である基礎というものがあります。そこを見てみましょう。その先はそれぞれが歩みだせることでしょう。ほんとか?
- Visual Studio 2022 Communityを起動します。
- ファーストステップダイアログで[新しいプロジェクトの作成]を選択します。
- [Windowsデスクトップウィザード]を選択します。dllを作成するプロジェクトにしたいからです。
- プロジェクト名を何かしら決めます。管理人はCodeTesterとしました。好きな単語でもなんでもいいでしょう。ほんとか?そして次へです。
- どうせ、適当なことをやってすぐ消すことになるし、深く考えない方が良いでしょう。本格的に世に出すモノを作る時はキャッチーな素晴らしい名前を考えた方がよろしいかと思います。とにかく素早く考えて、決めて、入力編集したら[次へ]を選択します。
- C:\User\(ユーザ名)\source\reposに保存され、ソリューション名も同じで「CodeTester」がプロジェクト名になりました。
- 表示されたダイアログでアプリケーションの種類を[ダイナミックリンクライブラリ(.dll)]にして、空のプロジェクトのチェックボックスにレ点を入れて[OK]ボタンを押します。
- これで、いよいよプロジェクトの編集が開始できますがまだ準備することがあります。プロジェクトの設定とか、メインプログラムの定型部分のコピーとか、モジュール定義の定型部分の設定とかです。やってみましょう。
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