「AP過去問 令和7年度春期 午前 問30」の版間の差分
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MTUはIPヘッダーとTCPヘッダーの合計が含まれているので、<span style="font-size: 0.9rem;">\( 20 + 20 = 40 \text{[バイト]} \)</span>を指し引きます。。 1,500バイトから引くと、<span style="font-size: 0.9rem;">\( 1,500 - 40 = 1,460 \text{[バイト]} \)</span>がデータとして利用できる領域となります。 | |||
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が答えです。 | |||
この問題においては、イーサネットのヘッダー長(14バイト)とトレーラー長(4バイト)は演算には不要です。以下にそれぞれの意味と位置づけ、なぜ計算に含めないのかを説明します。 | |||
■各ヘッダー・トレーラーの役割と位置づけ | |||
1. イーサネットヘッダー(14バイト) | |||
データリンク層で使われる情報です。 | |||
宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプなどが含まれます。 | |||
OSI基本参照モデルの'''第2層(データリンク層)'''に該当します。 | |||
ハードウェアに近い通信のための付加情報で、MTUの定義には含まれません。 | |||
2. イーサネットトレーラー(4バイト) | |||
フレームチェックシーケンス(FCS)と呼ばれる誤り検出用の値が入っています。 | |||
こちらもデータリンク層の一部で、同様にMTUの計算には関係しません。 | |||
3. IPヘッダー(20バイト) | |||
OSIの'''第3層(ネットワーク層)'''における制御情報です。 | |||
宛先IPアドレスやパケットの分割情報などが含まれます。 | |||
MTUに含まれるため、MTUから差し引く対象です。 | |||
4. TCPヘッダー(20バイト) | |||
OSIの'''第4層(トランスポート層)'''で、通信の信頼性を確保するための情報を含みます。 | |||
これもMTUに含まれるため、実データの容量を求める際には差し引きます。 | |||
■なぜイーサネットのヘッダー・トレーラーはMTUに含まれないのか? | |||
MTUは、IP層(ネットワーク層)で扱える最大のパケットサイズを表します。これは通常、IPヘッダー+上位層データ(TCPやUDPのヘッダー含む)+アプリケーションデータの合計で構成されます。 | |||
つまり、イーサネットヘッダーやトレーラーは物理的な送信に必要な情報であり、IP層から見たパケットサイズには含まれません。 | |||
そのことがわかっているかを問う問題であり、余計な情報はひっかけです。やられましたね。 | |||
2025年4月29日 (火) 23:17時点における最新版
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問30(問題文)
MTU(Maximum Transmission Unit)が 1,500バイトに設定されたIPv4ネットワークで、2,000バイトのデータをTCPを用いて送信するときに、二つ目に送信されるパケットに含まれるデータは何バイトか。ここで、TCPヘッダー長は20バイト、IPへッダー長は20バイト、イーサネットのヘッダー長とトレーラー長は、それぞれ14バイトと4バイトとする。また、データを複数パケットに分割して送信するときは、先に送信するパケットに格納できる上限までデータを含めて送信するものとする。
ア 500
イ 540
ウ 580
エ 598
回答・解説
この問題では、MTU(Maximum Transmission Unit)が1,500バイトに設定されたIPv4ネットワークで、2,000バイトのデータをTCPを使用して送信する場合に、2番目に送信されるパケットに含まれるデータ量を求める問題です。条件として、TCPヘッダー長は20バイト、IPヘッダー長は20バイト、イーサネットのヘッダー長は14バイト、トレーラー長は4バイトとされています。
送信されるパケットの構造についての計算
最初のパケット
MTUは1,500バイトであり、これにはイーサネットのヘッダー(14バイト)とトレーラー(4バイト)、IPヘッダー(20バイト)、TCPヘッダー(20バイト)が含まれます。
よって、最初のパケットに使用できるデータのサイズは以下のように計算できます。
イーサネットヘッダー: 14バイト
イーサネットトレーラー: 4バイト
IPヘッダー: 20バイト
TCPヘッダー: 20バイト
MTUはIPヘッダーとTCPヘッダーの合計が含まれているので、20+20=40[バイト]を指し引きます。。 1,500バイトから引くと、1,500−40=1,460[バイト]がデータとして利用できる領域となります。
最初のパケットには、1,460バイトのデータが含まれます。
2番目のパケット
残りのデータは、2,000−1,460=540[バイト]です。
したがって、2番目のパケットに含まれるデータは540バイトです。
したがって
イ
が答えです。
この問題においては、イーサネットのヘッダー長(14バイト)とトレーラー長(4バイト)は演算には不要です。以下にそれぞれの意味と位置づけ、なぜ計算に含めないのかを説明します。
■各ヘッダー・トレーラーの役割と位置づけ
1. イーサネットヘッダー(14バイト)
データリンク層で使われる情報です。
宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプなどが含まれます。
OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)に該当します。
ハードウェアに近い通信のための付加情報で、MTUの定義には含まれません。
2. イーサネットトレーラー(4バイト)
フレームチェックシーケンス(FCS)と呼ばれる誤り検出用の値が入っています。
こちらもデータリンク層の一部で、同様にMTUの計算には関係しません。
3. IPヘッダー(20バイト)
OSIの第3層(ネットワーク層)における制御情報です。
宛先IPアドレスやパケットの分割情報などが含まれます。
MTUに含まれるため、MTUから差し引く対象です。
4. TCPヘッダー(20バイト)
OSIの第4層(トランスポート層)で、通信の信頼性を確保するための情報を含みます。
これもMTUに含まれるため、実データの容量を求める際には差し引きます。
■なぜイーサネットのヘッダー・トレーラーはMTUに含まれないのか?
MTUは、IP層(ネットワーク層)で扱える最大のパケットサイズを表します。これは通常、IPヘッダー+上位層データ(TCPやUDPのヘッダー含む)+アプリケーションデータの合計で構成されます。
つまり、イーサネットヘッダーやトレーラーは物理的な送信に必要な情報であり、IP層から見たパケットサイズには含まれません。
そのことがわかっているかを問う問題であり、余計な情報はひっかけです。やられましたね。
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